特集 病態生理学・成人看護論・老人看護論の連結講義を試みて
連結講義の発展性
看護学における発展性
真部 昌子
pp.536-537
発行日 2001年7月25日
Published Date 2001/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903860
- 有料閲覧
- 文献概要
今回の連結講義では糖尿病の患者について発展させてみた.しかし,糖尿病患者の事例でなくとも発展させることは可能である.例えば,糸球体腎炎の子どもの事例で考えてみたい.学童期に学校保健法で定められた検尿で子どもの腎炎が発見されることがある.事例が小児期にあるとすると,小児看護学との連結も可能となる.成人看護論の項で引用したD. バタフィールドは10歳で糖尿病を発症している.10歳であっても身体の異常には十分気がつけること,発病や入院が大きなショックであったことなどを著者は述べているが,これを小児心理をふまえた講義へと発展させることもできる.また,その事例が成人期に達したことを想定し,青年期・壮年期・向老期の発達段階の特徴を盛り込んだ継時的な事例を作成することも可能である.
不幸にしてその事例が発達段階のどこかで慢性腎不全になったとする.治療法として血液透析や食事療法,あるいは腎移植が挙げられる.現在,日本において腎移植は死体腎移植が多いのだが,脳死患者から移植されることもある.この事例を腎移植にまで発展させれば,倫理的な問題やドナーカードの問題を考えさせるにはよい材料になりうるだろう.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.