慢性期の患者・家族とのコミュニケーション・10
専門性の発展によって失われるものへの気づき
岡本 拓也
1
1洞爺温泉病院
pp.66-67
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103093
- 有料閲覧
- 文献概要
かつて,アーサー・クラインマンは,『病いの語り』において,患者の「生活者としての生きられた経験」への視点を医療者がもつことの重要性について指摘した.全人的に患者や家族を捉えることの大切さにも通じるクラインマンのこの指摘は,医療の実践において,重要な意味をもっている.
さて,患者の「生活者としての生きられた経験」に注目するという,この視点は,誤解を恐れずにもっと単純に言ってしまえば,「素人(非専門家)の視点」を大事にするということである.つまり,それは,医学・医療の専門性への「翻訳」を,まずはいったん排除して,できるだけ生(なま)の現実を見る努力をしてみよう,ということである.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.