連載 Evidence-Based Nursing 実験実習を導入した看護技術教育・3
(各論2)清拭時の湯温と皮膚温の変化に関する実習
深井 喜代子
1
,
關戸 啓子
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
pp.722-728
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903852
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清拭は看護技術の中でもっとも基本的で重要なものである.ほんの10分程度で終了するケア過程の中に,看護(学)のエッセンスが凝縮されている.例えば身体の清潔保持,保温,褥瘡予防,運動器のリハビリテーション,スキンシップ,コミュニケーションによる精神活動刺激,全身観察の機会など.実にさまざまな要素が含まれる.
清拭はそれほど奥の深い,代表的な看護技術の一つなのだが,初学者である看護学生にそのすべての意味を体得させることは無理だろう.教育者側は系統立てて教授しているつもりでも,学生は個々の科目の目新しさに気を取られ,科目間の有機的な関係は見えにくい.所定の教育課程をすべて修了するころになってようやく看護学の全体がぼんやりと見えてくる.つまり,前述したような看護学のさまざまな要素が,例えば清拭というケア一つの中にも存在するという必要性と必然性が理解できるようになる.そしてさらに,本当の意味で看護技術が完成されるのは,実はライセンスを得て実務に就いてからになるということは周知のことであろう.
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