再評価後の漢方治療入門―もう一度随証治療・5
麦門冬湯と竹筎温胆湯(その1)
坂口 佳司
1
1坂口循環器内科医院
pp.449-452
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902732
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「慢性咳嗽」というのは,原因のはっきりしない3~8週間以上持続する咳嗽で,その原因として後鼻漏,慢性気管支炎,胃食道逆流,気管支拡張症,喘息,かぜ症候群後などが知られている.
かぜ症候群の急性期を過ぎて,咳嗽のみが持続することは,日常臨床上しばしば経験されることであるが,気管支喘息やアレルギー性気道疾患などでもなく,肺炎,慢性閉塞性肺疾患でないにもかかわらず,また胸部X線写真にも異常ないのに,3~8週問以上咳嗽が持続するものを,Poeら1)はpostinfectious chronic cough (PICC)と定義している.PICCについては,その原因病理も明らかではなく,治療についての研究も,ヒスタミンH1受容体拮抗薬やトロンボキサン合成阻害薬が有効であるとされているが,十分なものではない.藤森ら2)は,このPICCに麦門冬湯が有効であるとして新たな治療の可能性を示したが,漢方的な知識では,PICCに相当する病態に用いる処方として竹筎温胆湯のあることが知られている.
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