特集 看護教育をとりまくこの1年の動き
国家試験を分析する
中島 澄夫
1,2
1藤田保健衛生大学衛生学部衛生看護学科
2日本私立看護系大学協会
pp.1041-1047
発行日 1998年12月25日
Published Date 1998/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903824
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はじめに
看護婦国家試験は,日本で所定の看護教育を受け各校各大学で独自に卒業認定された学生が,国内で看護婦(士)として社会人の第一歩を踏み出すのに必要最低限の資質を備えているかを問うものである.現行国家試験の合格水準は問題の正答率60%以上であり,言い換えれば問題の4割が不正解でも合格とされる.ただし,この場合,正答率,誤答率の算出はあくまで出題者の答えに基づくもので,真の正解に基づくとは限らない.考えを問う問題では特に見解の相違が生じやすいし,事実関係を問う問題でも人間である限りうっかりミスが起こりうることは過去が教えている.厚生省は試験委員の正答を公表し,採点前に広く意見を聞く耳を持つべきであろう.
国家試験問題はごく限られた委員が自らの専門領域から作成し,それらを50人弱の少人数グループで見直し検討後に出題される.問題が専門的であればあるほど,グループのチェック機構は働きにくくなる.したがって例年いくつかの不適切問題が含まれることになる.国家試験の守秘性を考えると必然の結果ともいえるが,国家が行なう資格試験という見地からみれば,不適切問題を最小限に抑える努力が切望される.
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