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はじめに
改訂された新しい出題基準1)に基づいた第93回看護師国家試験が平成16年2月22日に実施された。大きな変化としては,看護の社会的側面や倫理的側面に関する問題,看護の対象者および看護技術についての基本的な知識などを特に必修問題としてまとめて,30題出題されたことである。必修問題の出題範囲は専門基礎分野と専門分野に限定され,看護師として必要な最低限度の知識と臨床能力を問うことになっている。
昨年は,午前に客観式一般問題(四肢択一)150題を2時間45分で,午後に客観式状況設定問題(四肢択一)60題を2時間で解答する方式であった。今回より,午前に客観式必修問題(四肢択一)30題と客観式一般問題(四肢択一)120題の計150題を2時間45分で,午後に客観式一般問題(四肢択一)30題と客観式状況設定問題60題の計90題を2時間30分で解答する方式に改められた。今年は問題数が30題増え,これに伴い試験時間は30分延長となった。
合格発表が3月26日に行われ,全国平均合格率は91.2%であった。合格基準も厚生労働省web上で公表され,必修問題および一般問題を1問1点,状況設定問題を1問2点として採点し,必修問題80%以上,一般問題・状況設定問題60%以上のいずれをも満たす得点者を合格者としたことが明らかになった。なお,不適切問題として採点から除外された問題は,助産師国家試験で1題あったが,看護師国家試験ではないとされた。
今回より試験問題のプール制採用を理由として,試験後の問題の持ち帰りが禁止され,問題が非公表となった。試験問題のプール制は問題の質を確保し,難易度を年度毎に大きく変えないなどの利点を持ち,制度改革の一つとして評価できる。しかし,出題された試験問題とその解答は情報公開の原則から速やかに公表されるべきものと考える。国家の資格試験という観点から,あるいはまた教育学的見地などから問題の妥当性について適宜,吟味されなければならないからである。
今回は受験生から得られた情報をよりどころとして,再構成された第93回看護師国家試験問題について検討した。
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