焦点
第94回看護師国家試験を終えて―試験問題の分析
佐々木 幾美
1
,
谷津 裕子
1
,
吉田 みつ子
1
,
川原 由佳里
1
1日本赤十字看護大学
pp.371-377
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100052
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はじめに
平成16年2月27日に第94回看護師国家試験が実施された。新しく改定された出題基準1)と30題の必修問題が導入されて2回目の試験となるが,全体として受験生にとっては大きな混乱はなかったようである。今回の試験は,平成16年より試験問題のWeb公募システムおよびプール制度導入が開始されて初めての国家試験であり,この取り組みが試験問題の妥当性や信頼性の確保,難易度の安定化を図るという点でどのような効果をもたらすのか大変興味深い。
しかし,制度が開始となった当面は良質な問題数を十分に確保できない状況が考えられ,公募によりプールされた新規問題を出題する一方で,過去に実施された看護師国家試験問題の中から正解率・識別指数・解答傾向・内容妥当性を吟味し,良質と判断できる問題を出題することが必要であろう。短期間に大量の問題を蓄積し,かつ看護師資格試験として妥当な内容を維持するのは容易なことではなく,今回の試験では過去に出題された問題を修正・改変して出題していた点が特徴的であった。
合格発表は3月29日に行われ,全国平均合格率は91.4%であった。合格基準は,必修問題および一般問題を1問1点,状況設定問題を1問2点とし,必修問題は30点中24点以上,一般問題・状況設定問題は269点中165点であった。また,不適切問題として除外された問題が1題あった。
本稿では,受験生から得られた情報をもとに(株)東京アカデミーによって再現された第94回看護師国家試験について概観し,過去5回の看護師国家試験問題との比較から,今回の試験問題の分析と今後の課題について検討した。
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