看護教育新カリキュラムを追って・9
精神看護学の実習で何を学んでほしいか―現場(臨床)からの提言
天賀谷 隆
1
1関東中央病院神経精神科
pp.718-720
発行日 1996年9月25日
Published Date 1996/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903762
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はじめに
学生は臨床実習の場において,看護行為の根拠や理論的な説明を求められる.また自らの看護行為を合理的に説明するという意味で看護過程や様々な記録を求められている.ひと昔前に比べると,記録量・質ともその違いは明確である.精神科実習においても同様で,ともすると患者と過ごす時間よりも記録の時間の方が多いということにもなりかねない.一般科実習に比べて医療的な側面が少ないから,患者のもとに出向いていく難しさがあるのかもしれない.
誤解ないように付け加えるが,学生を看護スタッフの道具として使用したり,またはその方向に向けて訓練した「これまでの実習のやり方」に対しては,筆者自身も好ましいとは思っていない.ただ気になることは,学生が看護場面において患者との間で起こっている出来事に対して,その状況を説明したり解釈することに終始し,学生自身が人間としての自分の感情の扱いに困ったり,皆しんだりするということがあまり見受けられない点である.最近の傾向なのかもしれないが,淡々と無難に時間を過ごしている.言い換えれば,決まったラインの上を真っすぐに歩き続け,道草する人がいないのである.ラインから外れたやり方や答えに窮することはタブーであり,落ちこぼれないよう,必死になっているようにみえるのである.
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