連載 ことば
I. P(アイ・ピー)
都留 春夫
1
1聖路加看護大学大学院
pp.484-485
発行日 1992年7月25日
Published Date 1992/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903587
- 有料閲覧
- 文献概要
家族療法では,主訴の中で患者となっている人のことをI. P.(アイ・ピー)と呼ぶことがある.identified patient(同定された患者)の略だが,周囲から患者と見立てられた人あるいは患者にされた人という意味であろう.
例えば思春期のやせ症として治療者のところに連れて来られた少女とその家族間の力動関係によく注目していくうちに,この娘がその症状を示すことによって,家族としてのまとまりが崩壊寸前で食い止められているのが見えてくることがある.娘の症状が快方に向うと夫婦間の絆の切れそうなのがあらわになって来たり,他の子どもにもっと治療困難な病気が現れたりして,その家族の不安定さは消失しない.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.