連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・18
技を伝える—国分アイの場合
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.578-581
発行日 1998年6月1日
Published Date 1998/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905615
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表紙中央にナズナの模様のある美しい装丁.送られてきた国分アイの自伝1)である.紙包みをほどいた中腰のまま,ページを繰っているうちに,そのままその場に腰を据えて最後まで読んでしまった.前書きだけでも,彼女の人生の起伏がリアルである.戦後の臨床実践と教育を通じて多くの後輩を育て,実践を通して得た技の真髄を数多く残した過程は,やはり戦後の看護史にとどめておくべきだろう.
自伝の発刊に先立ち,同じ年(1997年)の3月に,教え子らによる『国分アイのナーシングアート』2)(医学書院刊)が出版された.教え子とはいえ,現在は大学で教鞭をとり,病院で指導的立場にある看護職らである.めくるめく医療技術の進歩に伴う効率重視の看護現場で,ともすると忘れ去られそうな看護の価値.
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