特集 教師に求められるもの―新たな授業実践
編入学生による講義が一般学生に与える影響
小野 美穂
1
1岡山大学大学院保健学研究科修士課程
pp.739-745
発行日 2003年10月25日
Published Date 2003/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903498
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はじめに
看護界において,編入学による大学への門戸が開かれ,近年入学数は増加してきている.近田は,編入制度について「多種多様な学生を受け入れることで,様々な体験をもつ学生から,その経験を授業で引き出すことができ,ダイナミックな授業が展開できる.このことによって,授業が活性化し,活力のある魅力的な大学に発展させていくことにつながる」1)と述べている.筆者も,編入制度を利用した者の1人である.しかし,一編入生として筆者は,1つの授業を通して様々な経験・背景をもつ編入生と一般学生とが共に満足し,お互いを刺激しあい,授業を活性化することは実際には非常に難しく,むしろ,ある一定の対象に授業の焦点をあてることによって,それぞれの学生の学習意欲や成果を低下させてしまうことも少なくないのではないかと日々感じている.
編入制度に関する先行研究では,編入学の現状や問題点について多く指摘されているが,編入制度をうまく活用して,授業,ひいては大学全体を活性化していくための方法論についての研究はほとんどなされていない.編入制度を取り入れる大学が増加している現状を考えると,これら方法論の開発やその評価は,性急に求められる課題であると考える.
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