特集1 看護学生の論文 入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
看護系大学への編入学を通して感じていること
福田 晴美
1
1九州看護福祉大学看護福祉学部看護学科
pp.656-657
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100337
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- 文献概要
私は看護師として,14年間病院で働いた。その間,さまざまな体験をした。看護師1年目,看護のふり返りレポートが看護部長の目に留まり,「看護観」について面談の機会を得た。看護師4年目には学会発表も行った。阪神淡路大震災の時には,心身ともに疲れ果てながら看護師として精一杯働いた。この時,私の目には,傷の痛みとともに生活基盤が突如失われた対象者の苦しみが映っていて,次々に搬送される対象者にとって必要な看護は何かがわからず苦悩していた。そのことがきっかけで,佛教大学社会学部社会福祉学科への入学を決意し,看護とともに福祉についても学習し,総合的な知識のもと看護を行えるように目標を立てたのである。何年もかかったが無事に卒業できたことは,私にとっては奇跡に近いことであった。
しかし,その間に対象者のニーズは多様化し,さらに対象者の権利意識も高まるに従い看護師への要求も厳しいものになっていた。その要求に応えるために質の高い看護を提供しようと組織の一員として努力する中で,チームメンバーの人間関係にも嫌気がさしてきていた。同時に,対象者の前で「笑顔」でいることが苦痛になり始めていた。次第に私自身がめざしていた「看護」とは何だったのだろうと自問自答をくり返すことが多くなっていった。
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