特集 看護学生の論文―大賞・入選論文の発表―看護のこれからを担う学生たちから寄せられた22篇
看護を学んで自己を知る
亀川 久美子
1
1浜松医科大学医学部看護学科
pp.611-612
発行日 2003年9月25日
Published Date 2003/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903470
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もし,看護の道に進んでいなかったら,私はこれほどまでに自分自身について問うことはなかったと思う.看護は患者があってこそ成り立つものであるが,より良い看護を展開するためには,向かい合っている患者を理解することが不可欠である.そして,患者をより深く理解するためには,自分自身の看護・疾病学的な知識は勿論のこと,対人能力,洞察力が問われる.まず,自分を知り,そして今の自分が持つ能力を駆使して,工夫しながら患者の理解に努めることが必要となるのである.
普段の生活ではそれほど意識することもなく流れにまかせてしまう人との会話でも,看護の場面では,患者と向かい合っての対話となる.これは決して一方的なものではなく,双方の働きかけによって成立するものであるから,相手を知りたいのであれば,まず,自分自身をありのままに表現することが必要である.そのうえで,自分の発言や行為が相手にどのような影響を及ぼしているのかを,相手の反応から感じ取り,それによって自分の対応を振り返ることで,良かった点や悪かった点を認識し,次からの対応に活かすことが出来るのである.
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