特集 「静脈注射」をめぐって
急ぐのはなぜ?「静脈注射は看護師の仕事」
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.27-30
発行日 2003年1月25日
Published Date 2003/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903341
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はじめに
<本当は看護師の仕事ではないんだけど>の背景
看護業務のなかでも静脈注射ほど,建前と現実の間で揺れ動いた行為はないだろう.1948年,保助看法が公布されたが,静脈注射が医師の仕事であるとの合意は,「医師がこの処置を行い看護婦は介助をする」1)と明記されている当時の教科書からも類推できる.だが,現場は教科書通りではなかった.「注射の上手な看護婦」はどの病棟にも存在し,患者から喜ばれていた.
ところが,1951(昭和26)年,国立鯖江病院における誤薬事件を契機にして,「静脈注射は誰の仕事か」が看護界の内外で話題になり,それまで安易に行っていた看護師の静脈注射に対する意識に一石を投じた.その時出された当時の厚生省医務局長通達が,その後50年にわたって看護師の静注問題への1つの判断指標となって続いた.この通達が,今回の「新たな看護を考える検討会」(以下検討会)の中間まとめの趣旨を踏まえて,平成14年9月30日付で廃止されたことから,看護界にさまざまな波紋を呼んだというわけである.
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