Editorial
北米医学教育の現状
福井 次矢
pp.707
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100145
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つい先日,足早に北米の3つの大学を訪問し,医学教育の現状を視察する機会があった.1960年代に小グループでの問題解決型カリキュラムを開発・実践したことで名高いマクマスター大学(カナダ),高いレベルの研究を誇るデューク大学(米国ノースカロライナ州),研究だけでなく医科大学を持たない近隣州のためにプライマリ・ケア医を養成するプログラムを持つことでつとに知られているワシントン大学(米国ワシントン州)の3大学である.
マクマスター大学は約40年前の創設以来,4年で卒業させる他のカナダの医科大学と異なり,3年で卒業できるユニークな大学である.短期間で効率的に医学教育を行えるのは,医師に必要な医学知識を再編成した問題解決型(problem-based)カリキュラムのおかげである.いわば元祖問題解決型カリキュラムの大学であるからには,そのカリキュラムを発展させるのに精力を傾けているのに違いないと思いきや,この9月から「概念」基盤型(concept-based)カリキュラムという新しいカリキュラムに移行する予定という.あくまでも,臨床上,患者の抱える問題を解決するために必要な知識を再編成した結果,医学知識をグループ化し,それぞれのグループに新たな名称(概念)をつけたものである.
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