巻頭言
学会運営のための1試案
板東 丈夫
1
1順天堂大学医学部薬理学教室
pp.1
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905981
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学会が業績発表と討論とのための大切な一つの場であることは申すまでもないが,それがなかなかそうはゆかないところに論点がある。多数の分科会があつて,驚異に値するような大量の演題が年々発表せられることについても喜んでばかりいてよいかどうか,心ある人々は疑念をもつわけである。この現状を是正して理想的な形態に持つてゆく努力はいろいろとなされていることとは思われるが,近い将来に演題数の激減することはとても望み得ないし,なかなか困難な問題である。
1908年Heidelbergでの国際生理学会の席上一産科医の麦角成分に関する報告があつたが,これを聴いていたSir Henry Daleがひどくこれに心を惹かれ,Londonに帰るなり早速この問題をとりあげた。その結果はかの有名なDale等の一連のHistamine研究となつたという。まことに羨しい話で,われわれもこうした余裕のある学会をもちたいものである。
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