連載 事例による医療監視・指導・11
医療事故を防止するために
桜山 豊夫
1
1東京都衛生局医療計画部医務指導課
pp.980-981
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903136
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ヒヤリ・ハット体験
原稿の入ったフロッピーディスクを速達で医学書院へ送るために郵便局へ行って,戻ってみると,原稿の入ったフロッピーディスクがワープロの上に残っていました.そうすると送ったフロッピーディスクは何だったのだろう,ということになります.締め切りが迫っていて,早く送らねばという思いと,ようやく原稿を書き終えた安心感からくる気の緩み.速達の切手を貼って宛て名を書いた封筒を用意し,急ぐあまりそこにあったフロッピーディスクを封筒に入れて封をして郵便局へ急いだのです.原稿の入ったフロッピーディスクには医学書院用と記載していたにもかかわらず,確認を怠り,まさにそこにあった別のフロッピーディスクを医学書院に送るディスクであると疑いもせずに封をしたのです.フロッピーディスクの取り違えならば,医学書院の編集者に迷惑をかけるだけで済むかもしれませんが,薬剤や患者の取り違えは生命にかかわります.
ヒヤリ・ハット事例といいます.このようなミスがいくつかの病院から報告されています.私も病院を指導する部署にいて,今回のようにフロッピーディスクを間違えたときに,「ああこのような感じでミスが起こるのだな」と,ヒヤリとしました.どんなに急いでいても,いや急ぐときほど,なお念入りに確認行為を行わなければいけないのです.
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