特集 学生とともに学ぶ医療事故防止
統合科目で「医療事故予防」を取り上げて―知識と実習体験をつなげる試み
太田 博子
1
1佼成看護専門学校
pp.785-790
発行日 2001年10月25日
Published Date 2001/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902596
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医療は常に侵襲や危険が潜在的に伴うもので,医療において,「患者の安全」はその質を確保する重要な課題である.看護基礎教育においても「患者の安全」は,「安楽」の言葉とともに看護技術の基本的要素として強調され,事故は起こしてはならないものとして教育してきた.従って,そこでは事故を起こさないための「正しいやり方」や「注意事項」を学ぶという,最短の道のりで答えを出していく学習であった.そのため,事故は「正しいやり方」や「注意事項」を守らないための個人の不注意によって起こるものとされ,倫理性や責任の側面が強調されてきた感がある.
1990年代後半以降,医療事故報道が続いている.臨床では,「人間は過ちを犯すものである」というヒューマンエラーの考え方をベースに,様々な取り組みがなされるようになってきた.看護基礎教育においても,危険を予測し,事故を予防する取り組み,努力ができるための「責任指向」から「原因指向」の教育が必要であろう.
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