特集 未熟児
未熟児を取り上げた話
靑柳 かくい
pp.60-63
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201108
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私は開業以来(昭和4年)早産児については非常に興味を持つて哺育に当つておりますが数多いケースの中には嬉しかつた思い出や苦しい思い出又悲しかつた事等が沢山にありました.寒中真夜中の1時,2時頃眠い盛りの年若な娘と交替で強制栄養のために産家に通つたりチアノーゼ,呼吸停止がきた児の看護に幾夜も眠らず身心共に綿の如く疲労し自分で自分に不安な思いを持つた事を限りない程経験して参りましたが,何時も又どんな場合もただ々々児の発育に成功を願い乍ら一にも二にも努力に努力を重ねて参りました.ですから成功した時は何にも代え難い喜びに感激してこれ迄の苦労も打ち忘れて仕舞い泌々と天職を通して自身の幸福と満足を感得し胸をふくらまして居る有様で御座います.
実は是非一度自分の経験の一端を御参考に申し述べて見たいと思つて居りました矢先に御誌よりの依頼を受けましたので喜んで書かして戴きました.紙数の制限もありますので極く簡単に 1.生下時の取扱いの注意 2.早産児養護の内三大原則に基いて常々私が行つている点 3.哺育実例の一部を述べて見ます.
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