特集 医療倫理を学ぶ―21世紀における看護者の教育
第5部 では,看護者の責務とは
[座談会]医療事故を教訓として―「看護業務基準」を実践するために
嶋森 好子
1
,
齋藤 拾子
2
,
奥野 善彦
3
1日本看護協会
2東海大学医学部付属病院看護部
3北里大学
pp.988-993
発行日 2000年11月30日
Published Date 2000/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902400
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警察の事情聴取の中から
嶋森 今日は,東海大学医学部付属病院の齋藤看護部長に,ある1つの事故を契機に学んだこととして,日本看護協会で出している「看護業務基準」(表1)が臨床で看護業務の拠り所としていかに大切かということをお話しいただきたいと思います.一緒に聞いてくださるのは,北里大学の授業(法ゼミ,891ページ)の中で「看護業務基準」の存在と価値について取り上げておられる弁護士の奥野先生です.
齋藤 私どもの病院で,本年4月,実際に看護婦が過失を問われる事故を起こしてしまったのですが,私は警察から6回に及ぶ事情聴取を受けました.最も多く聞かれたのは,「看護業務というのは何ですか?」「看護婦は何を拠り所,規範としているのですか」ということです.院内に看護基準があってマニュアルになっていると申し上げますと,「それでは基準の意味を教えてくださいとか」「手順とはどういうものですか」「それは誰が発して,誰の名のもとに明文化されているのですか」また「どういう形でそれを徹底していて,どこに貼ってあって,それが実施されていることをどう確認していますか」ということを,婦長も私も徹底して尋ねられたのです.
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