時事を読む
―日米の医学教育・医療制度の比較からみる―医療過誤問題・2
中野 次郎
1,2
1北摂総合病院
2神戸大学医学部
pp.844-849
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902370
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ロバート氏式秩序法則
(Robert's Rule of Order)
医療過誤問題で間接的に重要なのは,内部情報を正確に交流するための委員会の運営であろう.薬害エイズ事件に例があるように,日本の大学の教授会や各種委員会では,議長が単独で決定した議題を委員会に提出して,委員の討議をさせないことがよくある.私も,病院の委員会で無討議の経験をして抗議したが,受け入れてもらえなかった.これは,日本がグローバルな標準を達成していない一例であると思う.議事進行の手続と慣習について述べたい.
米国では,大学,総合病院のみならず全ての社会の委員会は,「ロバート氏式秩序方則Robert's Rule of Order」(議事手続法Parliamentary Procedures)により全ての議事を有効適切に運営し施行している.この法則は,1876年に米国人Henry M. Robert(1837-1923)が,英国議会議事運営規則,ジェファーソンの米国議会議事運営マニュアルを改良して初版を著したことによる.後に彼の子孫により幾度か改良されて現在の形式になり,広く全米の委員会で採用されている(Robert's Rules of Order, 9th., Addison-Wesley, 1998).
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