連載 Evidence-Based Nursing 実験実習を導入した看護技術教育・1【新連載】
(総論)看護技術教育に実験実習を導入した根拠と目的
深井 喜代子
1
,
關戸 啓子
1
1川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
pp.490-494
発行日 1999年6月25日
Published Date 1999/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902086
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実験実習を導入したわけ
看護技術は,看護学のカリキュラムの中では基礎看護学の中で学内実習とし教授されている.従来の看護教育において,看護の技術教育は単にケアマニュアルの暗記や技術習得のための実技訓練に終わることが少なくない状況にあった.確かに技術に習熟することは重要であるが,短期間に習った技術や手技というものは,使わなければすぐ忘れてしまう.反面,ある看護技術において,なぜそれが望ましい方法であるかという原理・原則は,それが理路整然とした合理的説明に基づくものであれば,容易に記憶される.むしろ記憶された根本原則は,一つの技術のさまざまな変法への応用・展開を可能にする.しかし,看護の基礎教育において明らかに欠如しているのは,原理・原則の部分,すなわち技術の理論的根拠evidence-basedの部分であるように思う.
筆者らも,看護系の大学や短期大学で看護学を学んだが,教科書の中に看護技術の科学性や妥当性を示す実験的証拠を見ることはほとんどなかった.これは,看護界に入る前,現役大学生時代に生物学(深井)や栄養学(關戸)を専攻していた筆者らには,やや不可思議な印象であった.
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