調査研究
老年看護学における老年期のセクシャリティについての一考察―老年者の性とケアに対する看護学生の態度の傾向から
會田 信子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.120-126
発行日 1999年2月25日
Published Date 1999/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902018
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はじめに
看護教育の中で,人間理解のための1つの柱として性が重視されたのは,1990年の改正カリキュラム時で,日本の性教育の動向,すなわち「純潔教育(1945~1960年代)」「性器/避妊教育(1970年代)」「ヒューマンセクシャリティ(1980年代)」1)をくんで行なわれた.90年以後,売春行為の若年化,性産業の拡大,性転換手術の医学的認知など,性への認識,性行動が多様化の一途をたどっている.
木下が,「性に関する老いの意味を新たにどう考えるかの問題が欠落したまま,若年者の性の関係の延長線上で高齢者に啓蒙活動が進められている(要約)2)」と述べているように,老いを生きる人々の性を,改めてとらえ直す時期にきているのではないだろうか.殊にその人の成長や自己実現を援助するヒューマンケアの担い手である看護専門職にとって,これらは等閑に付すことのできない課題といえよう.
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