今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
5.生殖器の萎縮,セクシャリティ
小池 浩司
1
,
野崎 紀子
1
,
井上 正樹
1
1金沢大学大学院医学系研究科機能再生学講座分子移植学産科婦人科学
pp.1340-1344
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904777
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はじめに
高齢化社会が進む中で,閉経以後の人生がおよそ4割を占める時代が到来した.更年期を境に見られる全身の退行性変化の中で,のぼせ,ほてり,発汗異常などの更年期症状に代表的な血管運動性症状とほぼ時を同じくして出現し,その頻度が高い症状に泌尿生殖器症状がある.また,血管運動性症状は一時的で,治療を放置しても数年で消失・軽減することが多いが,泌尿生殖器症状はその発症機序からも推察できるように,自然軽快は望めず,年齢を重ねるにつれて進行・増悪し,しかも患者の訴えとしての声がわれわれ臨床医に直接には届きにくい症状である.本稿ではまず.閉経期に見られる生殖器の萎縮やセクシャリティの変化に触れ,その対策としてのホルモン補充療法を中軸とした治療を概説したい.
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