臨床に資する看護研究―私の研究指導 第2部 教員と臨床ナースの共同研究
【論文】HIV/エイズ医療における専門的看護婦の教育プログラムの検討
前田 ひとみ
1
,
南家 貴美代
1
,
石原 美和
2
,
池田 和子
2
,
村上 未知子
3
,
山田 雅子
4
,
操 華子
5
1熊本大学医療技術短期大学部
2国立国際医療センター
3東京大学医科学研究所附属病院
4セコム在宅医療システム(株)
5カリフォルニア大学サンフランシスコ校
pp.970-975
発行日 1998年11月30日
Published Date 1998/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901966
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はじめに
看護の価値は健康に関する質の高いサービスを求める人々のニーズに対応することである.ここ数年の間の抗ウイルス薬や日和見感染に対する治療のめざましい発達によってhuman immunodefecuency virus(HIV)に感染しても発症までの期間が延長し,発症しても長期に生存することが可能となった.それに伴いHIV/エイズ医療の場は外来が中心となり,患者のニーズも多種多様化している.また,わが国におけるHIV/エイズ患者の報告件数は増加傾向にあり,感染経路も凝固因子製剤による感染から性的接触へと変化し,最初からエイズと診断される症例が多くなっている1).また静脈薬物乱用に伴う感染も少しずつ増加しており2),HIV/エイズ医療の現場では麻薬やエイズ脳症などによる精神疾患を伴った患者も増えてきている.
このような状況の中で患者のニーズに対応しながら,HIV/エイズ看護の目標である①患者のセルフケア・レベルを向上させる,②2次感染を予防する,③日和見感染の予防と早期発見・治療,④サポートシステムの確立,を達成するためには,高い専門性が求められる.専門性とは理論的知識に基づいた技術を有することを指す3).質の高いサービスを求める人々のニーズに対応できるような能力は,単に専門知識や技術を教授しただけでは養われるものではない.
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