臨床に資する看護研究―私の研究指導 第2部 教員と臨床ナースの共同研究
HIV/エイズ研究のプロセス―さまざまなフィールドの研究仲間を得て
前田 ひとみ
1
1熊本大学医療技術短期大学部
pp.966-969
発行日 1998年11月30日
Published Date 1998/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901965
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HIV/エイズ研究と研究仲間との出会い
私は米国国立がん研究所のレトロウイルス感染症部において約2年半の間,研究員としてhuman immunodeficiency virus(HIV)を主とするレトロウイルス学の研究に従事する機会を得ることができた.私が所属していた研究室はHIV感染に有効な抗ウイルス薬の開発のための基礎研究を行っていた.そして隣は臨床研究部門であり,われわれの研究室におけるウイルスや細胞レベルの結果を受けて治験を行っており,基礎研究グループと臨床研究グループとがひとつになって研究を進めていた.
試験管レベルでHIVに対する抗ウイルス活性があることがわかって治験にこぎつけたとしても,患者が服薬できなければ意味がない.臨床部門では,まずはオレンジ味にしてみるだとか,ヨーグルト味だとどうかというように服薬できるようにするための工夫から始まる.患者の安楽を図りながら,より健康な状態へ導くことが看護婦の役割である.試験管レベルでの抗HIV効果についての研究もおもしろいが,正直言って看護婦である私にとっては味付けの研究のほうが興味深かった.
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