特集 生涯人間発達学入門―人間への深い理解と愛情をもった看護者を育てるために
児童期(6~12歳)
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.618-623
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901885
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勤勉性 対 劣等感
児童期の発達危機
学校生活開始と自己のめざめ
児童期の最大の特徴は「家庭から学校へ」と生きる世界の重心が変化することである.すでにそれぞれに幼稚園や保育所で過ごした経験をほとんどの子どもがもっているので,小学校入学はそれに続くものという印象で,それほど劇的な変化とは思われないかもしれない.しかし,入学後の学校教育は,就学前の「保育」とは基本的に異なる.
幼稚園や保育所は他人との集団生活だが,1人ひとりの子どもが自分のやりたいことをやりたいようにすることが許される,いわば家庭生活の延長のような居心地の良い生活の場であり,またそうでなければならない.ところが学校は時間割の定めに従って「読み,書き,計算」等を先生の教示の下でやらねばならず,やりたいこともやりたくないこともやらねばならないというルールが存在する世界である.「保育」とは異なる「教育」が小学校入学とともに子どもに迫ってくるわけで,「学校へ行く」ことは人生におけるきわめて重大なエポックメイキングとなるできごとである.
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