特集 生涯人間発達学入門―人間への深い理解と愛情をもった看護者を育てるために
青年期(12~20歳)
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.624-629
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901886
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自我同一性 対 同一性拡散
青年期の発達危機
子どもと大人の中間地帯
この世に生を受け,はじめて母親の胸に抱かれた乳児は,無力で自活力に乏しく,親が保護し世話をしなければ一日として生きられない.いわば絶対的依存の状態にある.次いで幼児期,児童期を迎え,子どもはめざましく成長・発達していくが,それでもなお,親や大人の養育や保護を受けなければ健康に育つことは困難である.このように,人間の子どもは大人に依存して約10年の歳月を暮らす.そして人生の途上でもっとも重要な節目の川の1つに遭遇する.身体的変化,とくに「性の成熟」である.ここにたどりついた子どもは,本人の好むと好まざるにかかわらず,青年期*という新しいライフステージに歩を進めていかねばならない.
では一体青年期はいかなる時期であろうか.図1に示すように青年期は子どもと大人の中間地帯である.しかもそれは人間固有の時間である.
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