講座
児童心理(6)—幼児期(その4)
小林 さえ子
1
1実踐女子大
pp.28-33
発行日 1955年6月10日
Published Date 1955/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200964
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§4社会性の発達
a)集団形成
子どもは出生の日の浅いほど,大人とくに母親との間に関連の強い集団を形づくつています.それは子ども自身が全く無力で,大人から保護されなければ,生きることができないからでもあります.したがつて,乳児の社会は初めは,母や父や他の家族の間に限られています.ところが,乳児期のおわりに同輩の子どもを近づけると,ようやく見合つてほほえみあい,ふれあつて喜ぶようになります.このようにして子ども同志の浅い交渉は芽ばえます.2才頃には,並べられた2人の子どもたちの間に,玩具のやりとりや相手の行動の模倣がなされるようになります.けれどまだ,「共にあそぶ」というところまでには至りません.共にあそぶことができるようになるのは3才頃です.3才前後の子どもは,もはや大人の相手だけでは不満となり,積極的に同輩の仲間をもとめるようになります.家庭や近所に相手がいるときには,ほとんど終日その子どもとあそぶ生活が始まります.
この際,一人子であつたり,きようだいと年令がかけ離れていたりする場合,また近隣にあそび仲間が見つからない場合には,いわゆる「空想の友だち」「空想のきようだい」をもつことがあります.
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