特集 生涯人間発達学入門―人間への深い理解と愛情をもった看護者を育てるために
幼児後期(3~6歳)
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.612-617
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901884
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自発性対罪悪感
幼児後期の発達危機
個の確立と反抗
0歳から3歳までの人生早期の3年間に,子どもは母親の胎内から出,へその緒を切断されて孤独になり→再び母親に出会い,母子一体感の世界を生き→少しずつ母親から分離し,個としての自分を確立するという経過をたどる.古来より「三つ子の魂百まで」といわれ,3歳になった子どもの顔や性格は一生続くものと考えられてきたが,これは個の基礎ができたことを昔の人は素朴な直観で3歳児の中に見出したのであろう.
このように幼児後期は,「僕は僕」「私は私」という自己意識宣言と,母親の意志や命令に抗して自分の意志や考えを主張する反抗によって幕を開ける.自己意識や反抗はすでに前段階の幼児前期に,しつけを通して芽生えてきているが,それがいよいよめざましいものとなるのが,幼児後期である.
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