特集 生涯人間発達学入門―人間への深い理解と愛情をもった看護者を育てるために
成人後期(65歳~)
服部 祥子
1
1大阪府立看護大学
pp.640-645
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901889
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自我の統合 対 絶望
成人後期の発達危機
しめくくりの時,人生の究極
人生50年といわれた昔と違い,現代は生活環境の改善や医療,科学の進歩とともに,寿命はずいぶん長くなった.その結果,老いた人々の生き方やそれを支える若い世代,社会のあり方が,今大きな課題となっている.
老いはそれまでの人生を一変させる.幼少期,青年期の後,多くの人は異性にめぐり会い,結婚をして,子どもをつくった.あるいは良き仕事に恵まれた.そして家庭にあっては子どもの面倒をみてさまざまなことを教えて社会に旅立たせるという大仕事に力を注ぎ,社会にあっては物をつくり仕事に精を出した.それが今は子どもはすでに一人前になり,社会に出て働き,人を得て結婚をし,親としての道を歩みはじめている.一方のわが身は子育ての義務が終了し,職業人としての役割も終わる.これが老年期である.
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