看護基礎教育改革への助走 看護技術の視点から基礎教育を見直す
第2部 基礎教育のもう1つの視点と可能性
医師からナースへの選択―米国の開かれた看護教育システムに学んで
山内 豊明
1
1Case Western Reserve大学看護学部大学院博士課程
pp.961-971
発行日 1997年11月30日
Published Date 1997/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901730
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なぜ看護学を選び直したか
私は1985年に大学を卒業し医師となりました.2年間の一般内科研修の後,治る治らないの言葉では割り切りにくい科の代表ともいえる神経内科を自分の専門としていくことを選びました.この科を選ぶまでには自分なりに迷いと戸惑いがありました.また,神経内科の医師として患者の傍にいる時,無力さと難しさを日頃からしみじみ感じていました.つまりは医師としての既存のロールモデルでは限界を自覚していたのかもしれません.
2年間の一般内科研修の時には,循環器内科や呼吸器内科のように華々しい手技によって生死の境を彷徨う患者に微力ながら手助けをすることができて,医師としての存在感を多少なりとも自覚することができた気もしました.一方で人間の生命力の力強さも目のあたりにして,医師が患者を治すわけではなく,本来患者自身がもっている治る力を最大限に発揮できるように手助けをするのが医療者の役目であることも痛感していました.
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