連載 病床環境理解のための12の課題・19
入院生活における意識と行動
課題10:入院生活と排泄の場(後編)
川口 孝泰
1
,
上園 和江
2
,
古池 春美
2
,
松田 末子
2
,
池尻 操子
2
,
井上 恵美子
2
,
中川 裕美子
2
1兵庫県立看護大学
2兵庫県立加古川病院看護部
pp.844-846
発行日 1996年10月25日
Published Date 1996/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901472
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ベッド上での排泄に対する援助
入院生活における排泄の場は,①ベッド上(おむつ/便器による),②ベッドまわりでの簡易トイレ,③病棟のトイレ,の3種類がある1).とくに,ベッド上やベッドまわりでの排泄を余儀なくされている患者は,本来の場ではないところで排泄行為をすることによる習慣上の問題や,同室者や援助者への遠慮・気兼ねなど,心理的な問題を多く抱えている.
このような患者に対する援助にあたっては,まず第1に患若自身の主体的な意思を尊重する必要があろう.排泄を援助されるということは,生理的なニードを他者に依存せざるを得ないほどに自立的な行動の障害を受けている.しかし,そのような患者にも,「場」の状況に応じた排泄方法を選択したいと思う欲求がある.援助にあたって,「おむつ」をあてている人は排泄の自立が失せてしまった人……と考えてしまうのは,患者の主体を尊重した援助とは言えない.排泄の方法を患者自身に選択してもらうような配慮をすることも,患者自身の一主体性を維持し,ひいては自立を支援していくことにつながるのである.
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