調査・研究
学生の思考を促すディベートの実践―母性看護学―母性保健の授業報告
坂本 節子
1
1前関西労災看護専門学校
pp.646-651
発行日 1996年8月25日
Published Date 1996/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901431
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はじめに
“ディベート”を,用語も含めて私が初めて知ったのは,『看護教育』誌に掲載された川本信幹氏の「教室におけるディベートの実際」という論文であり,私にとって非常に魅力的な授業方法であった.ちょうど,担当する母性保健の授業で,現代の母性にまつわる問題や課題をどのように学生に意識させ,考えさせるかと悩んでいた.私が一方的に学生に講義をしても,とても学生に伝えられるものではない.たとえ伝えられるにしても,学生に考えさせることにはならない.問題や課題の概要だけが学生の頭の中を一人歩きするのでは,と教授上の困難を感じていた時期であった.だから,川本氏の実践報告は,教授方法の1つの起爆剤となり,この方法を用いることで,母性や母子に関わる問題を学生自身に主体的に考えさせられるような気がした.
しかし,そのとき私のディベートについての知識は皆無であった.そこで,川本氏が参考文献として紹介された『これがディベートのやり方だ』から,ディベート実施の下地を作った.そして,早々に母性保健の授業に取り入れてみたものの,結果は私が期待していたほどではなく,学生の反応も悪かった.その失敗を振り返り,企画し直したものを次年度の学生に実施したところ,いままでに私が得たことのない学生の反応と意見が表現された.
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