連載 癒しの環境・10
ハードがソフトを規制する
高柳 和江
1
,
クミコ・クリストフ
1日本医科大学(医療管理学教室)
pp.844-847
発行日 1995年10月25日
Published Date 1995/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901207
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ここ数年で飛行機にも,JRにも,禁煙席が増えた.禁煙車の割合も増えてきた.でも,相変わらず喫煙席の方が多い.禁煙車には,家族連れを含め,タバコを吸わない人がぎっしり,満員状態である.実態は禁煙したい人の方が多いのだ.ファミリーレストランにも禁煙コーナーがあるが,広いお店の一部だけに禁煙の立札を立てていることが多い.煙は動く.同じ空間では,気体は拡散するから喫煙席のタバコの煙が,禁煙席にいく.強力な換気扇があるとか,しっかりとした隔壁がない限り,それは禁煙ではない.禁タバコ席にすぎない.客としては,本当に禁煙できるのか,ショーとしての禁煙運動なのか,みきわめる必要がある.
私は,飛行機でもJRでも,喫煙席近くの禁煙席に座ることになったら,咳をしたり,くしゃみをしたりといった嫌煙デモンストレーションをし,車掌さんに完全に分離すべきだと話すことにしている.乗客から文句の1つもないようでは,「庶民はこれで満足している」と,この変な禁煙席を設けた輩が早飲み込みし,満足している可能性があるからだ.人間,評価がないと,改善がない.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.