連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第89回
東京大学医学部附属病院新入院棟
ヒユーマンホスピタルのソフトとハード/新世紀を担うヒューマンホスピタルの試み
長澤 泰
1
,
岡田 新一
1東京大学工学系研究科建築学
pp.254-260
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903505
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病院の建て替えには時間がかかる.特に大規模な場合には一世代を要する例を今まで西欧の病院でも見てきた.多くの病院はその時代時代の医学・工学技術をしっかりとらえ,社会・経済的さらには文化的傾向の変化に敏感であった.東京大学医学部附属病院(以下,東大病院)の建て替えも同様に長年継続しているが,このような敏感さを常に保つことが必要であると感じている.
今回めでたく新入院棟が完成したが,従来の「病棟」という表現を「入院棟」と呼んでいることも時代背景の反映の一例である.この名称は院内で公募して決められたが,病院側・設計者側のソフトとハードの一体的協力の表れと考えている.そして日本でもようやく実現した国際的水準の面積と予算確保の大役を果たした東大施設部の存在がある.わが研究室では第三者的な立場で様々な新しい提案の一端を協力させていただいた.新入院棟はこのような様々な関係者のコミュニケーションの賜物である.このような態勢ができ上がるのには今まで紆余曲折の長い期間を要したが,これがなければどのような優れた建築的提案も画餅に帰したろうし,管理的改善案も実現不可能であったと思う.
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