特集 大学教育の目指すものPart1
看護系大学9校のアイデンティティ
将来,指導的役割を担う人材の育成
佐藤 禮子
1
1千葉大学看護学部
pp.744-746
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900936
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1994(平成6)年6月3日に開催された日本看護系大学協議会には,総勢30校の代表者が集まった.来年以後に加わる新設の看護系大学の数を考えると,わくわくするのは,筆者1人ではないであろう.このところの看護系大学の誕生は,日本の看護がやっと名実共に高等教育における専門職業として市民権を得るに至った結果として喜ばしい限りである.しかし,大学卒業看護婦(士)の公立病院等における上級職あるいは専門職採用が,未だ確立されていない等々,各大学が学生たちの将来に対してしなければならない課題は山積しているのが現状である.各大学の,とりわけ看護系教員は,社会に対してまた学生に対して,我が国の看護の将来を見すえた教育を実施する責務を負っていると言えるであろう.
一方,1994年4月,大学基準協会は,21世紀の看護教育と題した看護学教育の向上基準の設定に向けた委員会報告書1)を公表した.大学基準協会により看護学教育に関する基準が取り扱われるようになるためには,多くの看護系教員等の働きかけがあったればこそであろうが,まさに時を得た朗報である.各大学および短期大学はじめ看護教育の改善,改革を志向するあらゆる看護教育機関にとって,優れた手引き書ともなると考える.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.