調査・研究
精神科実習でみられた看護学生のメンタルヘルス―遭遇した4つの事例から
田村 文子
1
,
神郡 博
2
1群馬大学医療技術短期大学部看護学科
2富山医科薬科大学医学部看護学科
pp.528-533
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900875
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はじめに
臨床実習を通じて我々は,学生の様々な問題に対面させられる.この中には,対象の理解や対応等,看護に対する基本的な課題ばかりでなく,アイデンティティの確立など学生のメンタルヘルスにかかわる問題も含まれている.特にこの問題は,総合的な看護の対応を求められる精神科領域の実習で顕著に表れることがある.
我々は,これまで精神科実習を展開する中で,これらの問題に対し多角的な側面から指導方法の検討を加えてみた.この中で,精神障害者に対する理解を深めることだけでなく,学生の性格特性,進路に対する志向などの問題に関する様々な要因を把握し,学生自身のメンタルヘルスを維持することが,患者理解に大きく影響を及ぼしていることに注目した.東1)は,今後看護教育の現場では学生の精神保健上の問題はいつでも起こり得ること,従って,そうした学生を早期に発見し,危機に適切に介入することが必要であると指摘している.
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