ひろば
学生のメンタルヘルス・ケア
奈良 勲
1
1広島大学大学院保健学研究科
pp.185
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100038
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- 文献概要
日本人の年間自殺者数は3万人を超え,この現象だけをみても近年の日本人のメンタルヘルスが増悪しているのではないかと危惧される.なかでも,小中校における学級崩壊も深刻な現象の一つである.これらの現象がすべてメンタルヘルスに関連した問題であるとはいい切れないと思うが,少なくとも何らかの情緒的問題に起因すると思われる.
私は,金沢大学と広島大学における26年間の教員経歴のなかで,学内における学業や学外における臨床実習において,いわゆる脱落(drop out)したケースを散見している.そのなかに「うつ症状」もしくは「統合失調症」などのメンタルヘルスを起因とする脱落者も含まれていると思われる.それらの学生は基本的に優秀であることもあり,学業自体がその要因になっていると思えるケースは少ないようである.しかし,それらの学生のなかには,①理学療法士になることへの不適性・不適応を感じている,②さらに,学生自身の進路について保護者との間でズレがある,③しかし,自分が希望する進路変更を決断できない,④臨床実習で患者や指導者との人間関係の構築がうまくできない,などの事柄で悩み,葛藤やストレスが蓄積しているように思える.
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