連載 できることをできるだけ 臨床からのメッセージ・10
もうひとりの主治医
小笠原 望
1
,
藤田 悌子
2
1高松赤十字病院神経内科
2小野市民病院
pp.768-769
発行日 1993年10月25日
Published Date 1993/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900677
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夜の10時前だったろうか,やっと病棟回診を終わって,自転車置き場でスクーターにキーを差し込もうとしていた時だった.暗闇の向こうから「先生!小笠原先生!」と,大きな声が響いた.看護学校3年生の梶原さんだった.
「いいところで会った.一度会いたいと思っていたんだ.南さんのこと,聞いた?」私はキーをしまって,梶原さんが実習で受け持ちだった患者さんの話を始めた.南さんは日曜日に亡くなった.その最期に立ち会えなかった梶原さんに,その様子を話したいと,ずっと気になっていたのだ.
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