交見室
主治医制について思う
出口 浩之
1
Hiroyuki DEGUCHI
1
1ときわ病院外科
pp.1085
発行日 2011年8月20日
Published Date 2011/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103680
- 有料閲覧
- 文献概要
日本の病院においては長らく主治医制がとられてきた.その意義・目的は一般的につぎのように理解されている.一人の医師が(多くは)初診から検査,診断,治療方針の決定,入院治療,外科系ならば手術の術者,退院後の外来担当とすべての診療に責任を持ってあたることこそ患者に対しての礼儀であり,良質な医療の提供の根源となり,その結果,患者や患者家族との間に深い信頼関係が築かれる(根拠のない曖昧な楽観)ことになっているように思われる.
しかし,そのためには,夜間・休日を問わず,ほぼすべての診療行為を主治医一人が行うことになり,時として肉体的精神的負担は限界に近づくことがある.また,すべての疾患が治癒するわけでもないし,すべての人が最大長寿を果たすわけでないという,きわめて常識的な問題もしばしばあらためて患者の家族に説明する作業まで引き受けざるを得ない.そのうえ,病院の方針によっては早出,居残り,当直などの時間外勤務を半ば強制されるため,勤務医は業務量軽減のためにもこの伝統たる主治医制を考える時期にきているのではないだろうか.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.