連載 1つの看護教育史 1946~53 東京看護教育模範学院で学んだ人々・12(最終回)
全身全霊で教育に打ち込んだ教師たち―模範学院は近代看護教育の実験場だった
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.1090-1093
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900506
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1年にわたって続いた連載もいよいよ終幕を迎えた.単なる回顧としてではなく,わが国の看護教育史上のひとこまを記述しておこうとする意図は成功したであろうか.当初考えていたことの中には,1948年春の大量退学事件1)についても触れる予定であった.当時の関係者の一部の方々にも,真相を聞こうと努力した.だが,今回筆者らの力不足と,時間的な余裕のなさから詳細を述べることはできない.何れ機会があれば,当時の資料や当事者の証言などとともに紹介してみたい.
さて,この連載のいわばメインでもあった全卒業生対象の調査によって,一部の者たちの追憶の中に生きているだけの模範学院ではなかったことが,いっそう明らかになった.やはり,この混沌と模索の中での体験が,その後のわが国の看護教育にさまざまな形で影響を及ぼしていると思う.それは,他領域の教育とは明らかに異なる看護教育独自の特徴として,今日までその名残りを留めているといってよいだろう.
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