調査・研究
看護書からみた近代看護創始期における看護思想
上岡 澄子
1
,
鵜沢 陽子
2
1福井県立短期大学
2千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
pp.1069-1075
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900500
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
1960年代半ば日本の医療の変革期,混迷を続ける看護界に対して,青木は「人間が人間であるためには,単なる本能や惰性,習慣ではなく,自覚された思想によって生きなくてはならない」と言い,看護を看護たらしめている思想を歴史的に考察する必要性を説いた1).その言葉を待つまでもなく,看護者およびその集合体である看護職能が自らの実践のよりどころとする「看護観」(あるいは「看護の概念」)を明確にしていくことは,看護者個人の成長にとって,また看護の発展にとって大切なことである.
このことは,昭和42年(1967)「保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則」の一部(教育課程)が改正(“新カリ”)されたのを機会に,看護教育においては重要視され2),ヘンダーソン,オーランド,ナイチンゲール等の著書を活用する等の方法で,指導がなされてきた.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.