連載 医者も知りたい【医者のはなし】・38
打診法の創始者 アウエンブルガー(1722-1809)
木村 專太郎
1
Sentaro Kimura
1
1木村専太郎クリニック
pp.172-175
発行日 2010年2月25日
Published Date 2010/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101683
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■はじめに
われわれが診断学を習った医学部3年生(今のM5に当たる)のとき,問診,視診,触診,打診,聴診をきちんと習った.机の台の表面を打診して,音の違いと指先の感触を習熟したものである.アウエンブルガー(Joseph Leopold Auenbrugger)が打診法を編み出した1761年ころは,ブールハーフェの脈診と体温を測る習慣がヨーロッパに広まり始まったばかりで,まだ血圧測定や聴診器もない時代であり,診断根拠は問診と視診と触診などの一番原始的な方法に頼っていた.驚くことに,ブールハーフェ以前の内科医は,患者に触るのは身分の低い床屋外科のすることで,まともな内科医のすることではなかったと言われている.
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