特集 ターミナルケア教育
ターミナルケアに関わる学生の心理的変化に関する研究―死を見送ることの大切さ
土屋 八千代
1
1聖母女子短期大学
pp.846-851
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900310
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
当短大は2年次の11月より領域別実習が開始される.成人系実習においては,急性期,慢性期,周手術期,臨死期それぞれの時期にある患者の看護を実習する.期間的にも長い成人系実習では,学生の成長に応じた段階的な実習での積み重ねを考慮しながら,受け持ち患者の選択を行なっている.看護の学びの大半は,臨床実習で得られるものであり,患者や家族との直接的な関わりの中で,学生は悩み,苦しみ,喜びながら成長していく.
特に,ターミナルケアでは,死の恐怖や孤独感にひしがれている患者への精神的サポートが重要であるが1),いまだ人の死に遭遇体験がない,あるいは少ない学生たちにとって,ターミナルステージにある患者や家族との関わりでの苦悩や戸惑いは測り知れないものがあろうと思われる.学生たちにとって,死は「遠いもの」2)であり,現実の中で自己の死をみつめることは出来ない故に,患者の死をみつめていくにも限界があると思われるが,ターミナルステージの患者との出会いは「生と死を考える機会」となり,「共感的,受容的態度習得」といった看護者の姿勢・態度に関する学びの場3)となるのである.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.