連載 外科医の私論
変化することの大切さ
橋口 陽二郎
1
1帝京大学外科
pp.236
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_236
- 有料閲覧
- 文献概要
外科医として最初に教わったことの一つが,「立派な外科医は,おなかを大きく切って,十分な視野を得て,存分に腕を振るうものである」ということであった.若いころはその教えを忠実に守り,拡大郭清が主流の時代に修練を積んだ.直腸癌の手術では,自律神経も含めて脂肪を残さないように切除し,腹部大動脈から腸骨動脈,尿管をムキムキにすることが必須と学んだ.患者は性機能も排尿機能も失ったが,「それが徹底的な手術を行った証である」という風潮であった.
© Nankodo Co., Ltd., 2023