NURSING EYE
学生の感性は無限大!―学生の実習におけるつぶやきの記録より
青山 誘子
1
1浜松市立看護専門学校
pp.836-837
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900308
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臨床実習をしていると,学生の気づきに驚きを感じる時がある.「驚き」とは少し適切でない表現かもしれないが,明らかに私の思惑を越える人への理解を示す学生に敬服しつつ,驚きを禁じ得ないのである.
学生を指導していてとくに期待する重要なこととして,患者をどう理解できるかがある.患者の心の奥に潜在するニードは,そのコントロールが弱まった場合,あるものは手のつけようも無くなるほどに患者を侵食する.看護が,その人らしさを確保しつつ進められるものである以上,学生に人間に対する感性の鋭敏さを期待するのは当然である.しかし,現実に20歳前後という年齢を考えると,過大な期待はかえって学生を押しつぶしてしまう可能性があり,やはり,人間の理解に関しても段階的に目標を達成できてゆければよいのではという所に落ち着く.特に,がん患者の全人的な苦痛や,老人の心身の老いへの恐怖と孤独などの理解は,学生には特に困難なのではないか.時々,共感を深めて欲しいという自分の願いとは裏腹に,そんな思いが自分の意識の中にどっかと座っていることに気づく.
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