特集 続・臨床実習に学ぶもの—病院側から
臨床実習に想う—婦長のつぶやき
中村 恵子
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1杏林大学医学部付属病院救命救急センター
pp.859-862
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921802
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看護教育と看護婦教育,看護教員と臨床指導者,学内教育(講義,演習など)と臨床実習に関する考え方や方法については「看護教育」をはじめ多くの雑誌や本で紹介されている.しかしなぜ,それだけたくさんの書物が出され,学校や臨床で討議の的になるのだろう.医療の進歩発展や看護婦の役割が見直されつつある現在において,学校における看護基礎教育の到達点が混沌としているからなのか.医療の専門家を育てる教育は他の職種も同じであるが,学生と教員(臨床指導者も含めて)の二者の関係ではなく,患者を含めて考えなければならないからか…….
医学部の学生実習は,これで実習の効果が上がるのだろうかと思いつつ見ているが,卒後3-5年くらい経つと3-5年目の看護婦よりずっと成長していることが多い.医師の基礎教育と卒後教育の方が看護婦の教育よりうまく連携しているのだろうか.それとも6年間教育であり専門性とか社会の信用性や医療のリーダーシップを担っている責任が,個々人の自己研鑚や努力の基になっているのだろうか.それにひきかえ看護学生の実習は,時に壊れ物に触れるように恐る恐るだったり,時には過保護であったり,時には放任されていたり,時には理論づめであったりする.この差は,看護教育の難しさに加え,看護を教える教員の臨床能力と臨床指導者の教育能力(教育的配慮)が大きく関与していると思われる.
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