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書評 ―訪問看護師による在宅療養生活支援を可視化する―希望実現モデル
山内 豊明
1,2
1放送大学大学院
2名古屋大学
pp.341
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202259
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「問題に」ではなく「希望に」取り組む
ヒトが「生きている」ためには、pHを7.40に維持しなければならない。その上で、人間が「生きていく」ためにはどうあらねばならないのであろうか。それについては絶対的な画一的目標が前提として定められているわけではなく、こうありたいという各自の「希望」が目指すべきものであろう。この希望の実現にどう貢献するかこそが、生命を護り、生活を支える医療職のレゾンデートル(存在理由)であり、それを自律して行う任務と責任があることが、本書の第1部に明確に示されている。
クライアントの希望の確認、現状把握、現状から希望への行程の設計と推進、障壁の低減、場合によっては目標とする希望についての善良なる現実的な再調整、これらが希望の実現に向けての作用機序と考える。これは太古の昔から人間の暮らしと共にあったケアという体験からも経験していたものであろう。良質な体験の結晶化がいわゆる経験知であり、それは経験的に使っているがなかなか言葉で説明できない知識である。それを形式知として可視化することは容易ではないが、これを可視化し、モデルとして体系化したものが第2部である。
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