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書評 ―看護教員のための―問題と解説で学ぶ教育設計力トレーニング
前川 幸子
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1甲南女子大学看護リハビリテーション学部看護学科
pp.589
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202151
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看護教員が教えることを学ぶための門戸を開く書
看護教員は、授業という実践をとおして教育力を培っていく。では、どのようにすれば日々の営みである授業を教育力の向上へとつなげることができるのだろうか。この問いに応えてくれるのが、教育学・看護学の専門家たちの共著によって編み出された本書である。ではその「教育力」とは何を意味するのか。本書によれば、教育力とは教員がよりよい教育を学生に提供するための能力であり、以下の3つの力と定義されている。学修目標に対する学生の到達度を的確に評価するなどの「教育評価力」、講義や演習、実習科目を体系的かつ一貫性を保持して設計する「教育設計力」、学生が効果的・効率的に学修できるかかわりといった「教育指導力」である。
そのうち本書で取り上げるのがタイトルにある「教育設計力」だが、なぜ「授業設計」ではなく「教育設計」なのだろう。それは、授業は単独で成立するものではなく、教育というシステムにおいて学生は看護学の学びを経験するからである。担当する授業のみに関心を置くのではなく俯瞰してとらえること、つまり設置主体の理念をふまえた3つのポリシーとどう関連するのか、学習目標の設定や評価方法は妥当か、教育方法は学生の経験に即しているのか、など教育設計における多様な観点からの思索が求められるのである。
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